人生を題材にした映画2
観客のだれもがある程度の知識を持っている存在だから、くどくどしい説明も必要なく、現実と虚構が錯綜し、時に影響し合いながらスピーディーに展開していく。
冒頭の漱石は神経衰弱気味で、小説家として一本立ちしようかどうかクヨクヨ悩み、そのイライラを妻の鏡子や家族にぶつけるような男として描かれる。
そんな彼が、自然児で無鉄砲な坊っちゃんを主人公にした物語を書き始める、その対称がまず面白い。
漱石のキャラクターは評伝に即しており、『坊っちゃん』の世界が動き出してからも、親友だった正岡子規への思いや、自殺した教え子への自責の念など、史実からのエピソードが盛り込まれている。